<目次>
基礎知識編
商品情報編
セルモーター(cell motor)は自動車エンジンを始動するための電動機です。セルモーターは和製英語で、正式には
スターティングモーター(starting motor)、略してスターター(starter)といいます。
自動車エンジンの始動には大きなトルクを必要とするため、低回転で大きな力を出せる直流直巻電動機が採用されています。
ガソリンエンジンの場合は一般に定格出力は0.8〜1.2kW程度、圧縮比の高いディーゼルエンジンの場合は更に大きな出力の
電動機が採用されます。ただし、この出力は連続定格ではなく、30秒の短時間定格(JIS)なので、始動に手間取ると電動機を
焼損することになります。
セルモーターは直流電動機以外に、回転をエンジンのクランクシャフトに付いているリングギヤに伝えるピニオンギヤや
プランジャー、電気回路を入り切りするマグネットスイッチより構成されます。自動車のイグニッションキーを回すことにより、
マグネットスイッチの接点が閉じ、バッテリーから通電されて電動機が回転し、同時にプランジャーが電磁力により吸引され
、リンク機構により先端のピニオンギヤが押し出されてリングギヤとかみ合うことで、エンジンのクランクシャフトが回転を
始めます。
クランクシャフトの回転と同期して、ガソリン直噴または気化器からの燃焼ガスの供給、点火プラグでの放電制御が始まり、
エンジンが始動します。
近年は自動車の軽量化のために、電動機も小型・高速回転が採用され、多段の歯車機構やプラネタリーギヤ(遊星歯車) による減速機が組み込まれるようになりました。
★セルモーターの機構や動作の詳細については、(株)デンソーの 始動装置で 分かりやすく説明されています。★
保守面では、直流電動機のプラシの摩耗、整流子面の荒れ、マグネットスイッチの接点の荒れなどが課題です。
日本の自動車部品の信頼性は高いので、大方のユーザーはセルモーターのメンテナンスはされていないと思われますが、
長期間の使用や粉塵の多い環境で使用した場合にトラブルを発生することがあります。
直流電動機のプラシは必ず摩耗していくのと、発生したカーボン粉が堆積して、整流子やブラシ導線・端子部分でトラブルが
生じることがあります。ヘビーユーザーは適当な時期にセルモーターを分解して清掃し、ブラシを交換することが望ましい。
セルモーターの分解整備または交換の目安は10万kmとされています。
オルタネーター(alternator)とは、自動車の運転制御に必要な電気を発生させるためにエンジンにベルトで直結された
交流発電機をいい、回転界磁型の三相同期発電機が採用されています。
自動車の電源は直流12Vが用いられるので、三相交流を直流に変換する整流器と、エンジン回転数が変わっても直流電圧が
一定になるように調節する電圧調節器(レギュレーター)が発電機フレーム内に内蔵されています。
オルタネーターの出力は畜電池(バッテリー)の出力と並列に接続され、自動車の運転制御の電源として用いられます。
オルタネーターの定格出力電圧は直流13.5Vですが、実際の出力電圧は14V程度になっています。
オルタネーターと蓄電池、チャージランプ、自動車キースイッチの接続回路の例を下図に示します。 自動車キースイッチ(KEYSW)を入れることにより、畜電池(BAT)より自動車の電気回路(LOAD)に電圧が供給され、 またチャージランプ(CH-L)が点灯します。さらにセルモーターを始動してエンジンが回転し、オルターネーターが 発電するようになると、チャージランプが消灯するように電圧調節器(IC)が制御を行います。
自転車式発電装置のシステム図を下に示します。
オルターネーターの回転に必要な動力は結構大きく、人間の脚力では定格回転まで加速するのは難しいため、界磁電流を 調節して小さな力でも円滑に回転できるようにトルク調整器があります。各人に合った回転トルクに調節することにより、 誰でも快適に自転車をこげるようになっています。(その分、発電出力は小さくなりますが)
電源スイッチを入れるとチャージランプ(CH-L)が点灯し、自転車を漕いで発電電圧が畜電池(バッテリー)の 出力電圧以上になるとチャージランプは消灯します。
畜電池、インバーターは商品欄の写真では小容量のものを使用して1つの制御装置に収めていますが、 大容量タイプに変更することにより、長時間、比較的大きな電気品を使用することもできます。 その場合は、別置きタイプにしたほうが取扱が容易でしょう。
新モデルでは畜電池の端子電圧をモニターして、電圧が高い時には界磁回路遮断により発電を停止して過充電を防止、 電圧が低い時には畜電池の回路を開放して過放電を防止する機能を設けています。
この自転車式発電装置は開発者の橋本繁和氏により改良が続けられており、
NPO法人 えひめグローバルネットワーク〜わくわく〜
の海外支援事業の一環として、2009年7月11日にモザンビークへ2台が発送されました。
また、兵庫県内でのエコ啓発教育やイベントにも多数出品されています。
これまでの開発経緯については、同氏の開発記録を ご覧下さい。
日本オートパーツではセルモーター、オルタネーターの製造工程の要所で外観、機械構造、電気特性等の検査を QC工程表に従って実施し、製品の品質管理に万全を期しています。 検査項目や方法、手順、合否判断などの詳細は各メーカーの検査基準に基づいています。オルターネーターについては、 JIS D1615「自動車用オルターネーター試験方法」に準拠しています。